ママのスキャンダル!
ママも、猫娘の格好ではなく金糸の見事な、桜の花模様の着物姿になっていた。

まるで日本人形のようで―――小柄なのも手伝ってさらに若く見えるのは本当なのだけれど。

「やあ、これは美しいね」

そう言って、ソフィアの後ろから金髪の中年男性が出て来た。

爽やかな笑顔は、年を感じさせない雰囲気を醸し出しているけれど。

もしかしてこの人は―――

「紹介するわ、わたしのパパ、フレッドよ」

―――やっぱり―――

雰囲気はまるきり違うけれど、顔はやはり似ていた。

「君がサラだね、いや、嬉しいよ。我が家にハリウッド女優が来てくれるなんて」

「はじめまして」

差し出された手を軽く握り、握手をする。

「若くて美しいお母さんだね。君と並んでいると素晴らしく絵になるよ」

そう言ってママとも握手するフレッドは、まるで映画俳優のようでとても素敵な人だと思った。

「あなたも、それにお嬢さんもとても素敵です。今日はありがとう」

その様子を見つめるソフィアの視線には、何か意味深なものを感じて―――

ふっと笑みを浮かべるのを、あたしは不思議に思って見つめていた。

「サラ、気をつけて」

あたしの隣にいたシンディが、あたしの耳にこっそりと耳打ちした。

「ソフィア、何か企んでそう。狙われてるとしたら、サラかサラのママだから」

その言葉に、あたしはちょっと笑って見せた。

「ありがとう。でも、大丈夫。お父さんもいい人そうだし―――」

そんなあたしを、ちょっと呆れたように見るシンディ。

「そんなこと言って―――優し過ぎるのも問題よ」

「そんなことないってば」

そう言って笑うあたしを。

デイブも心配そうに見ていた―――。

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