ママのスキャンダル!
奇跡としか思えなかったけれど。

あたしは、二次審査で見事合格することができた。

その電話を受けたとき、どんなに嬉しかったことか―――。

まだその役に決まったわけでもないのに、あたしもママも、そして弟も涙を流して喜んだのだった。

そして全国大会へ進む前、このオーディションのドキュメンタリー番組制作のため、なんとTVカメラが密着することに。

朝起きてから学校へ行き、帰ってきてから食事、お風呂、寝る前まで―――。

「余計に緊張してくるよ」

というあたしの言葉にも、ママは楽しそうに

「なんか本当の芸能人になったみたいだね。すごいすごい」

なんて喜んでいた。

もちろんあたし以外の人にも密着しているはずで。

「受からなかったら、放送されないんですよね?」

と聞くと、カメラマンさんは

「さあ。決めるのは僕じゃないからね。でも、これだけずっと密着してるんだからちょっとくらいは使ってほしいなあ」

なんて明るく言って笑っていた。

それでも、学校ではちょっとした有名人になりつつあったあたしは、これで不合格になったらちょっと恥ずかしいかも・・・・・なんて思っていたりした・・・・・。

それからさらに2週間が経ち。

いよいよ全国大会の日がやってきた。

全国4ヶ所のオーディションで選ばれた8人の中から、1人だけが本選へ進むことができる。

すでに芸能プロダクションなんかに所属している子もいたけれど。

みんな同じ年頃の女の子たち。

TVの取材などもたくさん入っている中でのオーディションで、異様な雰囲気に包まれ、全員が例外なく緊張しまくっていた・・・・・。


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