ママのスキャンダル!
そして、信じられないことに、あたしは全国大会でただ一人、合格することができたのだ。

名前が呼ばれた時には、聞き間違いかと思った。

本当にあたし?

呆然とするあたしのもとへ、映画のスタッフがやって来て、あたしの手を取り、笑顔で言った。

「Congratulations!」

そして割れんばかりの拍手の嵐に、眩暈を起こしそうだった。

ステージの中央に連れて行かれ、たくさんのカメラのフラッシュが光る中、あたしは日本人の審査員が話すのを、まるで夢の中にいるような気持ちで聞いていた。

「おめでとう。沙羅さんには来月ハリウッドで行われる本選に出場する権利が与えられます。世界中から集まった少女たちは強敵ばかりですが、是非、今日のようにのびのびと、頑張って来て欲しいです」

ふわふわと、浮いているみたいだった。

ステージを下りたあともアメリカへ行ってからのスケジュールについて話を聞いたり、それまで日本でいくつかの雑誌の取材があるという話を聞いたり、密着取材もこのまま続けるという話を聞いたりした。

「え、家族も一緒に行けるんですか?」

スタッフの人の話に、ママは驚いた顔をして聞いた。

「ええ、まだ10歳ですからね、一緒に行くのがスタッフだけでは不安でしょうし、日帰りってわけにも行きませんから、ご家族も一緒に。もちろんホテルや食事の心配も要りませんよ。製作側ですべて負担しますから」

そう説明され、ママはまるで自分がオーディションに合格したみたいに頬を紅潮させて喜んでいた。

最終オーディションはなんと1週間かけてやるとのこと。

どんなオーディションなのか、その場で説明はなかったものの、ママはただで旅行ができるというだけで、夢みたいだと喜んでいたのだった・・・・・。

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