最後の恋はアナタの隣で
視線を上げた先には、私の顔を不思議そうな目で見つめるお風呂上がりの春樹さんがいて、思わず胸がキュンとする。


……大好きな春樹さん。

そして、お店には――春樹さんを狙うユカリがいる。


……ううん。
ユカリだけじゃない。

他の女の子だって春樹さんの前ではブリッコするし、必要以上に春樹さんにベタベタしようとする。


だから私は仕事に行かなきゃいけない。
行かなきゃ春樹さんを奪われるかもしれないから……。


「何でも……ない」

ミサキに返事を打たずに携帯を閉じると、そう言って春樹さんに精一杯の笑顔を向けた。


だけどそれは無駄な抵抗で、


「何でもないわけがないな。どうした?」

私の嘘はすぐに見破られる。
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