最後の恋はアナタの隣で
「……まぁ、そんな感じかもね」

春樹さんの事をきちんと説明したい気持ちを抑えてそう答えると、悔しさから奥歯を噛み締めた。


今ここで春樹さんの事を話すわけにはいかない。

もしここで話して、どこからともなくユカリに伝わってしまったら、確実に面倒な事になる。


ミサキは誰かに言いふらしたりしないだろうけど、リンにはそんな信用が全くない。


だから曖昧な返事をしたにも関わらず、


「ナンパとか遊ばれてるじゃん。ダッサ」

何も知らないリンはそう言って――再び馬鹿にしたように鼻で笑った。


その瞬間、今までギリギリのラインで抑え込んでいた怒りが、私の中でパンッと弾け《はじけ》た。


……本当は言いたいのに言えないっていう、そんな私の苦しさを知らないくせに。
< 126 / 464 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop