最後の恋はアナタの隣で
どんなに苦しくても悲しくても、私には耐える道しかないって知らないくせに。


……キャストと黒服が付き合うのは絶対に駄目な事だから。


それがキャバの決まり――“風紀”だって事を前にテレビで見て覚えてたから、私は誰にも言わずに我慢してるのに。


春樹さんの事を考えて、お店の事を考えて、色んな事を考えて我慢してるのに。


それなのに何で、こんな風に馬鹿にされないといけないんだろう。


しかもリンは、春樹さんがどれだけ優しいのか知らない。


私を気遣って――思って――色んな事をしてくれる優しい春樹さんの事を、リンは何も知らない。

知ろうともしてない。


私の我儘を聞いてくれて。


泣いてる私の事を一言も面倒だって言わずに慰めてくれて。
< 127 / 464 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop