最後の恋はアナタの隣で
それでも私の怒りは一向に収まらなくて。

もう一度リンを殴ろうと思い、大きく手を振り上げた直後、


「涼ちゃんやめて!!」

……ミサキの悲痛な叫びが耳に届いてきて、私の意思とは関係なしにピタリと手が止まった。


背中に冷たい汗が流れ落ちる。


呼吸が止まりそうなほどの焦りをジワジワと感じながら、ゆっくりとミサキに視線を向けると、


「やめて……やめてっ……お願い……」

ミサキは椅子から立ち上がり、ガクガクと足を震わせ、涙が零れ落ちそうな目で私を真っ直ぐ見つめていた。


「涼ちゃんっ……やめてっ……」

「……」

「お願いっ……」

「……」

喉から絞り出したようなか細い震え声に、何も言う事が出来ない。
< 129 / 464 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop