最後の恋はアナタの隣で
それを見ているフリをして、ボールペンを握る春樹さんの左手をジッと見つめていたら、


「ユカリも本名にしようかなぁ」

わざとらしいほどの甘ったるい声に、ハッとした。


ゆっくりユカリの方へ視線を移すと、ユカリは上目遣いで春樹さんを見つめてて――今までそんなユカリを見た事がなかった私は、全身の毛が一気に逆立つ。


「春樹さんはどう思いますぅ?」

「僕はどちらでも良いと思いますよ」

「えぇ~? 春樹さんが決めてくださいよぉ」

「では、ユカリさんも本名にしましょうか」

「春樹さんが決めてくれるなら何でも良いですぅ」

体をくねらせ、必要以上に春樹さんにベタベタするユカリは、私の存在なんて忘れてるみたいだった。
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