最後の恋はアナタの隣で
「くだらない事は考えてないよ?」

「じゃあ何考えてた?」

「春樹さんが綺麗過ぎるから……」

「から?」

「本当に人間なのかな、って」

「やっぱりくだらねぇじゃねぇか」

春樹さんはそう言って、吹き出すように笑う。

それに釣られて私も口許を緩めた。


春樹さんといると、今までの自分が嘘みたいに思えて仕方ない。


友達を見下したり、突き放したり。
気に入らない奴を殴ったり、先生に反抗したり。


そんな今までの自分が、本当に嘘みたいに思える。


春樹さんと一緒にいるとそんな自分を忘れる事が出来る。


それはきっと――私が春樹さんに心を開いている証拠。


春樹さんは私の心の中に入り込んで、いとも容易く“違う私”を取り出してしまう。
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