最後の恋はアナタの隣で
「迎えは四時前で良いのか?」

「うん。……ねぇ、本当に行かないと、」

「駄目だ。行ったら今度、千秋の店に連れてってやるよ」

「え……?」


――…“ちあき”

春樹さんが発したその名前に、胸がギュッと締め付けられる。


何で春樹さんの女友達のお店なんかに行かないといけないの?


そんなのご褒美じゃなくて――拷問だ。


「……“ちあき”のお店に行くの……?」

「あぁ、そうだよ。てか、もう学校始まるだろ? また放課後な」

「……うん」

嫉妬で曇る心を隠したまま、車から降りてバタンと扉を閉めると、春樹さんに背を向けて校舎に向かって歩き出す。


セダンの走り去る音が後ろから聞こえた途端、少しだけ泣きそうになって俯いた。
< 169 / 464 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop