最後の恋はアナタの隣で
私には春樹さんの考えてる事が分からない。


春樹さんの頭の中には、私が嫉妬してしまうって考えはないんだろうか。


嘘は簡単に見破るくせに、こういう事には鈍感な春樹さんにちょっとだけ苛々する。


だけど、春樹さんに悪気はないって分かってるから、この苛々を本人に吐き出すわけにはいかない。


どうすれば気持ちの整理をつけられるのか分からず、ただ底なしに暗い気持ちになっていく胸の内を引きずりながら、ノロノロと足を進めていると、


「相澤」

靴箱の前で不意に名前を呼ばれ、私は反射的にパッと顔を上げた。


途端に、「ひっ!?」と小さな悲鳴が、無意識に口から漏れ出す。


目の前に立っていたのは“ヤらせて男子”三人組の中の一人で――その顔には傷や痣が痛々しく広がっていた。
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