最後の恋はアナタの隣で

「……人の痛みが分からないんだって」

静かにポツリと声を落とすと、春樹さんは「うん？」と言って私の目を見つめる。


私はそれに応えるように、以前ユカリから聞かされたユカリの過去を話し始めた。


「ユカリね、物心ついた時からずっと、両親から凄い虐待を受けてたの。それで……八歳の時に寝てる両親を刺したらしい」

「え？」

「その後ユカリの両親がどうなったかまでは聞いてないけど……ていうか、さすがに聞けなかったんだけど。ユカリ自身は施設に送られて、そこでもまた殴られて、中学に上がる前におばあちゃんに引き取られたみたい」

「……」

「だから人の痛みが分からないって――何で殴っちゃいけないのか分からないって言ってた」