最後の恋はアナタの隣で
私が予想していた以上にユカリ派が多くて驚いたけど、皆ユカリに言われたから動いてるわけではないみたいだった。


私は多分、それぞれから個人的に恨みを買ってるんだと思う。


それだけ皆――本気で春樹さんの事を狙ってたって事なんだろう。



「――涼。帰るぞ」

「うん!」

呑気に私に笑いかけてくる“乙女心”に鈍感な春樹さんは、絶対に皆の気持ちに気付いてないだろうし、嫉妬を買った私がイジメられてるって事にも気が付いてないはず。


だけど学校のイジメ同様、変わってしまったこの環境を春樹さんに告げる気はない。


私に左手を差し出した春樹さんを見上げながら、春樹さんが鈍感な人で良かったと心底思った。
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