最後の恋はアナタの隣で

春樹さんは少し慌てた様子でそう言って、私の手を握り締めてきたかと思うと、


「俺が涼と付き合ってるのはそういうのじゃないからな!?　繋ぎって勘違いすんなよ!?」

そんな分かりきった事を口にする。


それに対して思わず「へ？」って間抜けな声を出した私は、すぐに「大丈夫だよ。分かってる」と付け足して、春樹さんの手を握り返した。


「良かった……。また勘違いさせて泣かせてしまったらどうしようって、少し焦った」

春樹さんはホッとしたような笑みを見せ、私の腕をグイッと引き寄せ抱き締める。


「そんな勘違いしないよ。だって私、売れてるキャストじゃないじゃん」

春樹さんの胸にピタリと横顔をくっ付けた私は、笑いながらそう言った。