最後の恋はアナタの隣で
「来年受験でしょ? もしかして行かないつもり?」

「あー……いや、その……」

「うん?」

「えーっと……」

私は何故か「行かない」と言い切れず、手元にあるカシスオレンジに視線を落とした。


高校へ行く気は全くない。

それはずっと前から決めてた事。


だから本当は堂々と「行かない」って言いたいけど……春樹さんの前でそんな事を言うのは気が引けた。


「高校は行った方が良いよ。行かないと後で後悔するから」

黙り込んだ私を見て千秋は何か察したのか、周りの大人がいつも言う“お決まりの台詞”を口にした。


……この台詞を聞く度に毎回思う。

高校に行かなかっただけで、何を後悔するんだろうって。


将来何になりたいかすら決まってないのに、そんな状態で高校に行って何の意味があるんだろう。
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