最後の恋はアナタの隣で
テストの前日に死に物狂いで頭の中に叩き込んだはずの知識が、今はもう完全に記憶から消えてしまってる。


千秋に一つ一つ丁寧に教わっても、欠片ほども思い出せない。


挙げ句の果てには、本当に学校でそんな勉強を学んだのか疑問すら抱いてしまい――ここまでくるともう、“勉強が出来る”とは冗談でも言えないレベル。



「もう無理……ギブアップ……」

とうとう頭がついていかなくなった私は、テーブルに顔を伏せて死にそうな声をあげた。


「予定の時間まであと三十分もあるよ?」

「まじ無理……脳みそ溶けるぅ……」

「脳みそは、」

「知ってる。比喩だから突っ込まないで」

やっぱり頭が固い千秋の言葉を遮り、私はハァっと深い溜息を吐き出して、伏せていた顔をゆっくり上げる。


すると。
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