最後の恋はアナタの隣で
「ウイスキーだけど……飲んでみる?」

言いながら、私に向かってグラスを差し出す千秋。


私は返事もせずに両手を伸ばしてグラスを受け取ると、躊躇う事なく茶色い液体――ウイスキーをゴクリと飲み込んだ。


――その瞬間。


「何これっ!? まずっ!!」

衝撃的なその味に思い切り眉を顰めた。


渋い苦味の所為で舌がピリピリする。
喉が焼けるように熱い。


鼻から抜けていくアルコール臭に耐え切れずむせ返ってる私をよそに、私の手からグラスを取った千秋は、ウイスキーを口に含んで美味しそうに喉を鳴らす。


「……ねぇ」

「うん?」

「こうなるって分かってて飲ませたでしょ?」

「ごめんね。悪戯っ子だから」

そう言って、楽しそうな笑みを浮かべる千秋。
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