最後の恋はアナタの隣で
「だからさ、参考書でも買って俺が教えようか? って提案した」

「……そっか」

「春樹に教えてもらうよりは良いでしょ? 二人ともすぐ喧嘩しそうだし」

「んー……」


教科書を持って帰って来いって言われるよりはマシだけど、どうせなら放っておいてほしかった。


だけど千秋の厚意を無駄にする訳にもいかないから、言いたい言葉は呑み込んでおいた。



暫く千秋とお喋りしていると、千秋におんぶされた時に居た従業員とは別の従業員が出勤してきた。


「そろそろ帰ろうか」

そう言って立ち上がった千秋に合わせて、私もソファから腰をあげ、千秋と一緒にお店から出て春樹さんの家に向かう。


――まだ見慣れない繁華街のネオンと、酔っ払いが騒ぐ賑やかな声。
< 309 / 464 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop