最後の恋はアナタの隣で
いつもは春樹さんの車で通ってるその道を、お酒を飲んでる千秋の所為で歩いて帰る事になった。


勉強で疲れきっていた私は、歩幅を合わせて歩いてくれてる千秋に「タクシーで帰ろうよ」とお願いしてみたけど、「たまにはこうして散歩するのも良いもんだよ」なんて、呑気な事を言われて聞き入れてもらえず。


……地獄のお勉強会の次は、散歩祭ですか。

心の中でこっそりとそんな悪態をついた。


――はずだったのに。


「明日は車出すから、そんな顔しないで」

私の顔を見てそう言って、千秋は申し訳なさそうに小さく笑う。


どうやら、不満がそのまま表情に出てしまっていたらしい。


少しだけ気まずくなった私は千秋から顔を逸らして、


「な……何でお酒飲んだの?」

勢いのない声を口篭らせた。
< 310 / 464 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop