最後の恋はアナタの隣で
「最初から散歩するつもりだったから」

「うわ、酷い! こっちは疲れてるっていうのに……」

「でも、ダイエットになるよ?」

「……何それ。私がデブだって言いたいの?」

「そんな事思ってないよ」

「顔が思いっきり笑ってるんだけど!」

「あはは。わざとだよ、わざと。涼ちゃんは本当に表情がよく変わるなぁ」

そう言って、私の頭をポンポンと軽く叩く千秋。


私は何だか子供扱いされてる気分になって、唇を尖らせる。


だけどそれは形だけで、別に怒ってる訳ではなかった。


千秋に子供扱いされても何となく許せてしまうのは、きっとその人柄と雰囲気の所為だろう。


千秋の落ち着いた喋り方に和みながら、繁華街を抜けて街灯が並ぶ高架下に沿って十分ほど歩くと、右手が次第に住宅街だけになっていった。
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