最後の恋はアナタの隣で
今日はやけに蒸し暑い日で。


その所為で窓を開けてる家が多く――家族団欒《かぞくだんらん》の声が色んな所から飛んでくる。


途中で高架下から逸れ、住宅街の中の小道に足を進めると、その声の数がより一層増して、胸が苦しくなった。


……お母さんは今、何をしてるんだろう。


そんな事考えたくないはずなのに、頭が勝手に考えてしまい……視線が必然的に周りの家の窓に向く。


そして。


「涼ちゃんは実家に帰ったりしてる?」

私の左側を歩く千秋にいきなりそう聞かれ、ハッとして千秋に視線を移すと――まるで全てを見透かしてるような目に射抜かれ、心がざわついた。


「たまには帰らないと家族が心配するよ」

柔らかい笑みとその言葉に息苦しさを感じる。
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