最後の恋はアナタの隣で
「心配なんて……しないよ」

私は吐き捨てるようにそう言って、自嘲的に笑った。


「何でそう思うの?」

「うちのお母さんは放任主義だから」

「お父さんは?」

「いない。私が生まれてすぐに、女作って出て行ったんだって」

「じゃあ涼ちゃんは一人っ子?」

「うん」

「それなら尚更、心配してるんじゃないかな?」

「……そんなわけない。だって、家から出て二ヶ月も経つのに電話すらしてこないんだよ? 心配してるなら普通掛けてくるでしょ」

「んー……でも俺は、絶対に心配してると思う」

「ないよ。あの人が心配するなんて有り得ない」

強い口調でキッパリとそう言い切ると、千秋はそれ以上何も言わずに――優しく微笑んだ。


そして、そのまま話題を切り替えて、明日のお勉強会の予定を話し始める。
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