最後の恋はアナタの隣で
「受付してくるから、涼はソファに座って待ってろ」

驚く私とは対照的に、春樹さんは顔色一つ変えずそう言って、颯爽とカウンターに向かって歩いて行く。


私はその背中をボンヤリと眺めながら、入り口から一番近いソファに腰をおろした。


カウンターの女の人に話し掛けた春樹さんは、すぐに何かを受け取ると、それを持ってカウンター横の機械へと移動する。


そこで機械の画面にタッチしたりして、数分後。
クルリと振り返ってこっちに戻って来た春樹さんは、


「待たせてごめんな。行こう」

そう言って、右手を差し出してきた。


逆の手にはチケットのような物が二枚持たれている。


「それ、チケット?」

春樹さんの手を取って立ち上がった私が問い掛けると、春樹さんは「そうだよ」と答えながら歩き出す。
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