最後の恋はアナタの隣で
春樹さんの手に引かれ、最終結論に達した私の心の中からは、不安が一気に消えていく。


そして、ゆったりとした歩調で辿り着いた先で足を止めると――消えた不安の代わりに、感動で心の中が満たされた。


船には今まで何度か乗った事がある。


だけど、過去に乗ったどんな船よりも大きい、くすみのない純白の船体に感動して、私の目は釘付けになった。


船体の全ての手すりにはオレンジ色のライトが等間隔で並び、煌やかな雰囲気を仕立て上げている。


まるで、映画の中にでも出てきそう。


「チケットを拝見させていただいても宜しいでしょうか?」

船の外観に見とれていると、そんな問い掛けが聞こえてきた。


私は船から視線を外し、近くに立っていた男の人に視軸を合わせる。
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