最後の恋はアナタの隣で
それを最後まで貫き通したかった。

それが私の、春樹さんに対する愛情表現だから。

いつも甘やかしてくれる春樹さんへの精一杯の恩返しだったから。


――…だから私は、真実を隠した。


ボタンが弾け飛んだワイシャツを肌着の上から羽織り、ワイシャツの胸元部分を手で握り締めながら春樹さんの迎えの車に乗った私は、「友達と喧嘩した」と嘘をついた。


いつもなら私の嘘を見破る春樹さんだけど、この嘘は見破られなかった。


何かを守りたいと思ってつく嘘は、見破られない。


きっと、そういう物なんだと思う。



「体調が悪い訳じゃないのに何で休みたいんだ?」

――何も知らない春樹さんは、目を丸くして私を見つめる。
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