最後の恋はアナタの隣で


――…瞼を開いたと同時に視界に映ったのは、白い天井だった。


私はパチパチと瞬きを繰り返し、風に吹かれて揺れてる右側の白いカーテンに視線を移す。


そして、そこで数秒止まった後、今度は左側に目をやった。


するとそこにもまた白いカーテンが佇んでいて――ようやく回り出した思考が、ここは保健室だと認識する。


私は体の上にある白い薄手の掛け布団を腰のあたりまで下げると、ノソノソと上半身を起こした。


右側で揺れているカーテンに再び視線を向け、時折覗く窓の向こうにある花の色を捉えながら、ゆっくりと記憶を手繰り寄せる。


……春樹さんに学校まで送ってもらって。

すれ違った男子にビクッとして。

昇降口に辿り着いて――…
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