最後の恋はアナタの隣で

「今日も顔出してくの？」

不思議に思った私は、車から降りながら千秋に問い掛ける。


「いや、今日はそれだけじゃなくて、働いていく」

「え!?　働くの!?」

千秋の返答に思わず驚きの声をあげた。


「うん、働くよ。これが解決策だから」

「へ？　ど、どういう事？」

「キャスト達は多分、俺と春樹のどっちかが常にホールを見ていれば何もしないはずなんだよ。だから、涼ちゃんが出勤する日は俺も店に出る事にした」

「そんなっ……い、いいよ！　解決しなくていいから、千秋はあっちのお店に戻りなよ！」

「だーめ。それじゃあ俺の気が済まない。これは俺自身の為にやってる事だから、涼ちゃんは気にしないで」

口角を上げて笑いながらそう言った千秋の目は――笑っていなかった。