最後の恋はアナタの隣で
「あはは。やっぱりそれはないか。じゃあ、幾つなの?」

「……」

「ほら、大丈夫だから言ってみて?」


春樹さんの優しい声は、まるで魔法のようで。


「……十四歳。中学三年生です」

私は小さな声でそう言って、春樹さんの顔を見ないように俯いた。


「なーんだ」

「……」

「六歳しか変わらないじゃん」

「え……?」

春樹さんの言葉に驚いた私は、パッと顔を上げる。


……そして、言ってしまった。


あまりにも驚き過ぎて、つい本音を零してしまった。


「嫌いにならないんですか……?」

それを聞いた春樹さんはクスクス笑い、


「俺に嫌われるかもって心配してたの?」

そう言って、視線は進行方向に向けたまま、私の頭を優しく撫でた。
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