最後の恋はアナタの隣で
――それなのに。

そう分かってるつもりなのに。


……私の中には少しずつ、“寂しい”っていう我儘《わがまま》な感情が芽生え始めてる。


「……最初にホテルなんて行くからだよなぁ」


金曜日の午後。

授業をサボって屋上にあがった私は、空を眺めながら寂しさの原因をポツリと呟いた。


私が一日の中で一番寂しさを感じるのは、眠りにつく前の、ベッドの中。


布団にくるまって瞼を閉じると、春樹さんと一緒に眠った日の事を思い出して、何とも言えない寂しさに襲われる。


それはきっと最初に温もりを覚えてしまったからで、電話やメールを思うように出来ない事を寂しく感じるのも、その所為。


少しずつ。
だけど確かに。


私の心の中は、春樹さんの存在に侵食されている気がする。
< 65 / 464 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop