最後の恋はアナタの隣で
どうせ、ユカリの体も狙っているに違いない。
私は絶対に騙されたりしないんだから。


――って、頭の中でいくら考えても駄目だった。


湧き上がる感情を抑えきれない。


声を聞いただけで胸が痛む。

痛む程に――キュンとする。


自分を騙そうとしてる相手に対して、こんな感情を抱くなんて有り得ない。

どうかしてるとしか言いようがない。


……何で私が、こんな思いをしなくちゃいけないんだろう?


「涼? どうしたんだ?」

私の髪の毛を撫でて、困惑したような声を出す春樹さんを見上げると、更に苦しくなった。


どうしてこんな気持ちになるんだろう。
どうして私は怒らないんだろう。


春樹さんを罵倒して、今すぐにでも帰れば良いのに。
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