最後の恋はアナタの隣で
全部バレてるって事をぶちまけて、何なら一発くらい殴ってやればいい。


それなのに私は、


「……ッッ」

――…どうして馬鹿みたいに泣いてるんだろう。


「涼!?」

急に泣き出した私を見て、春樹さんは何事だという顔をする。


だけど感情が昂《たかぶ》ってる私は、


「どうしてっ、私なの……?」

自分の思いを言葉にして、春樹さんの顔を更に曇らせる。


「どうして……って、何がだ……?」

「何がじゃない! 分かってるくせに!」

「分かってる……?」


一度言葉にしてしまうと不思議なもので、溢れ出した感情は次から次へと、堰《せき》を切ったように流れ出してきた。


「女遊びしたいなら他の人で遊べばいいじゃん! 何で私なの!? 私が処女だから!? 処女で恋愛経験もないから私を選んだんでしょ!!」
< 79 / 464 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop