最後の恋はアナタの隣で
「ありがとう」

春樹さんは訳の分からないお礼を口にして、ソファから腰を上げてキッチンに向かう。


「コーヒーと紅茶、どっちがいい?」

キッチンに立った春樹さんは、私に背を向けたままでそう聞いてきた。


「えっと……紅茶が……いい」

「レモン? ミルク?」

「え? あー……ミルク」

「分かった」

私の注文を聞いて食器棚からマグカップを二つ取り出し、手際良く紅茶を淹れてミルクティーを作る春樹さん。


その後ろ姿を見つめながら、何から何まで完璧な人だなと思った。


きっと、掃除も洗濯も料理も、全部自分でやっているに違いない。


春樹さんから視線を外して部屋の中をグルッと見回すと、その綺麗さに今更ながら溜息が出る。
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