王子な女好き
セックスに夢中だったのか、その男女はあたしたちに気づかずに行為を続けていた。
「バカはどっちだよ……バカ洋子」
「…うー……」
“手を離して”と淳の胸板を叩くと、淳は「ん?」と言って首をかしげた。
分かってる癖に。
「あ。俺たちもセックスしたくなった?」
「うー!!ううー」
何を言っても言葉にはならなくて、淳の手の中で消えた。
「オッケーオッケー。俺、最近欲求不満でさぁ」
本気でするつもりなのか、
冗談で脅してるのか、
淳の笑顔からは読み取れなかった。