王子な女好き
「つまんないなら、帰ればいいじゃん」
缶に口を当てて、淳はジュースを飲み干した。
喉仏がリズム良く動くのに少しだけ目が奪われた。
「そんな言い方しなくてもいいじゃん」
ぷすーっと可愛く頬を膨らましてみる。
だけど淳にはそんなこと通じなくて、「キモい」とだけ言われて少しへこんだ。
「お前さあ、何のためにここ来たわけ?」
「…ナンパ、待ち」
淳は大きな声で「あはは」と笑って地面を叩いた。
「お前なんかにナンパする男の気持ちが知れねえっつーの」
缶を宙に浮かせてキャッチ、宙に浮かせてキャッチを繰り返しながら、淳は笑った。