大阪解体
プロローグ「メイクアップ」
プロローグ『メイクアップ』
窓の向こうではいよいよ日が地平線のかなたへ沈もうとしている。
部屋の中は蛍光灯で明るく照らされ、弱めに冷房がかけられていた。その快適な環境にしつらえられた部屋で、男はひとり、鏡に向かいメイクアップをしていた。
派手ないでたちをしている。サイズに余裕のある、をやや行き過ぎた、ダボダボと余りがある黄色を基調としたつなぎを着ている。そしてさらに、頭には赤毛のアフロのかつらを装着していた。
男の地肌がまったく分からなくなるほど白いファンデーションが塗りたくられメイクが終了すると、まるで計っていたかのように部屋のドアがノックされた。
「失礼します。柿崎少佐、出撃準備が整いました」
部屋に入ってきたのは、こちらも顔を真っ白にメイクアップした男だった。格好もまったく一緒だ。
「わかった、いま行く」
「室長が出撃前に話がしたいとのことで、司令室でお待ちです」
「ああ」
ジュドー柿崎は立ち上がった。カツン、ブーツが床を叩く。派手な黄色のつなぎに合わせてか、彼の足を包んでいるのはやたらと大きな黒いブーツだった。
「先に行っててくれ、そんなに時間はかからない。作戦は定刻どおりだ」
男が一礼してドアを閉めていくのを待たず、柿崎は胸に下げられたペンダントヘッドを手に、中のロケットにおさめられた写真を眺めた。
(大丈夫、お兄ちゃんは無事に帰るからね)
彼はロケットを再び服の中に落として、部屋を出て行った。
窓の向こうではいよいよ日が地平線のかなたへ沈もうとしている。
部屋の中は蛍光灯で明るく照らされ、弱めに冷房がかけられていた。その快適な環境にしつらえられた部屋で、男はひとり、鏡に向かいメイクアップをしていた。
派手ないでたちをしている。サイズに余裕のある、をやや行き過ぎた、ダボダボと余りがある黄色を基調としたつなぎを着ている。そしてさらに、頭には赤毛のアフロのかつらを装着していた。
男の地肌がまったく分からなくなるほど白いファンデーションが塗りたくられメイクが終了すると、まるで計っていたかのように部屋のドアがノックされた。
「失礼します。柿崎少佐、出撃準備が整いました」
部屋に入ってきたのは、こちらも顔を真っ白にメイクアップした男だった。格好もまったく一緒だ。
「わかった、いま行く」
「室長が出撃前に話がしたいとのことで、司令室でお待ちです」
「ああ」
ジュドー柿崎は立ち上がった。カツン、ブーツが床を叩く。派手な黄色のつなぎに合わせてか、彼の足を包んでいるのはやたらと大きな黒いブーツだった。
「先に行っててくれ、そんなに時間はかからない。作戦は定刻どおりだ」
男が一礼してドアを閉めていくのを待たず、柿崎は胸に下げられたペンダントヘッドを手に、中のロケットにおさめられた写真を眺めた。
(大丈夫、お兄ちゃんは無事に帰るからね)
彼はロケットを再び服の中に落として、部屋を出て行った。