大阪解体
第一章「夜間飛行」
第1章『夜間飛行』

 政府公安部所属輸送航空機・スードリは夜の空を飛んだ。地上にはネオンの花が咲き乱れ、天上に見えるべき月や星の小さな光をかき消している。
エンジンの低い唸り声が響くスードリの中では、黄色のつなぎを着た男たちが押し黙って、壁にすえつけられた腰掛に座り、自分たちに与えられた仕事が開始される時を待っていた。
「まもなく、本機は、大阪市上空に、到達します。隊員は、投下準備を、お願いします」
スピーカーから伝えられたメッセージは、一言一言はっきりと区切られ、それを言っている者の人柄の固さまでもが伝わってくるようだ。
柿崎は立ち上がり、
「よし、いくぞ。予定通り7班からだ」
と男たちを見回した。
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