大阪解体
第二章「テレフォン・フロム・ザ・キング」
第2章『テレフォン・フロム・ザ・キング』

 公安部特殊部隊「ドナルド」が大阪上空を飛んでいる夜から、時は少しさかのぼる。
それは、関東のとある都市での出来事だった。
夕暮れ、仕事を追え帰宅の途にあった会社員・川口ひろしは、カバンに入れた携帯電話が鳴っているのに気づいた。
川口はディスプレイに出た覚えのない番号を不審に思いながらも通話ボタンを押して電話に出た。
「もしもし?川口です」
「もしもし、こんにちは、王様です」
「おっ、王様ッ!」
川口は思わずその場に膝まづいた。彼の動揺は並々ならぬものがあった。
「な、なぜ貴いお方である王様が、私のような一般人へお電話を!?」
「ははは、驚かせてしまいましたかな」
電話のむこうで王様は柔らかい笑い声をたてた。

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