バラバラ死体とシャルウィーダンス
「………誰だ?」
「見れば解るでしょう、黒ずくめの誰かです」
頭を捻るフジハラさんを適当にあしらい、私は後ろで見ていた美幸ちゃんに言った。
「この人、アップに出来る?」
「はーい。パパ、ウザイからどっかで遊んできなよ」
「俺、一応君らの上司なんだぞ」
「知るか」「だからなんですか」
「…………」
見てるだけで全く役立たずのフジハラさん。
画面に大写しにされた人間は、帽子を被り、手袋を付け、とにかく見える肌が少ない。
そして、一番の特徴は、小柄だということ。
「十代後半辺りか……」
フジハラさんの言葉に頷きながら、画面隣のリアルタイムで書き込みが増えていく掲示板を見た。
『殺せ!』
『いや、もっと苦しめろ』
『目ん玉エグって下さい∀`』
頭に来る。
出来る事なら今すぐこの場所に行って止めてやりたいが、今の私には到底無理だ。
第一、場所が解らない。
ただ見てるだけしか無理な私達の目の前で、画面の中の黒ずくめは女性の前にしゃがみ込んだ。
『……うん……………うんっ……』
女性は何か言われたのか、何度も頷いている。
『……うん……わかったからぁ……! やめてぇぇぇ……!』
しかし黒ずくめはナイフを、女性の首筋に当てた。
『や、やだ、やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』
ナイフは少しずつ耳まで上がる。
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