バラバラ死体とシャルウィーダンス
インターホンを鳴らすと、五分もしないうちに扉が開いた。
現れたのは十代後半あたりの少年で、何処か暗い雰囲気をかもしだしている。
「こんにちは」
「………ちわ」
「私達、〓〓〓〓〓に会いに来たんだけど、君かな?」
「はい。…………精神病院の方ですか?」
「違うわ」
「児童相談所ですか?」
「違うわ」
少年の目は、「騙されないぞ」という気持を雄弁に語っている。
まずい。安定してるとは言われても相手はメンヘルだ。
どんどん疑われてパニックを起こされる前に退散しなければ。
「私達は―――警察よ」
「警察………」
「ほら、最近おとなしいから、そろそろ保護観察を解除しようかなって」
完全に、大嘘だ。
然し〓〓〓〓〓は瞳を光らせた。
「本当ですか?」
「そうよ」
こういった人間は人間観察に長けている。決して引いてはならない。
〓〓〓〓〓はこわばっていた表情を柔らかくして、私を見た。
「何の用ですか?」
「ほら、最近殺人がネットで公開されてるでしょう? 君がそれで酷く傷付いてはないかと心配でね」
これは、さすがに無理がある。
〓〓〓〓〓は直ぐ様瞳を曇らせた。
疑われてる?
と表情に出ている。
「大丈夫よ、君じゃないのは解ってる」
「……………」
「ほら、君は医学とかに詳しいでしょう? 何か解った事があれば教えてほしいの」
「例えば、どんな………」
今まで口を出さなかった井村が、いきなり喋りだした。
「あの女性に打たれた点滴の薬の正体に、心あたりは?」