バラバラ死体とシャルウィーダンス
収容された病院で、佐和田は暴れた為、鎮静剤で眠らせたという。
その後、病室に運ばれて四時間程。
不意に、佐和田の部屋からナースコールが押されたという。
「で、見に行ったら………」
首を鋭い何かで掻き切られた佐和田の姿があったという。
その時は辛うじて息はあったが、どうこうしても助かる状態ではなかったという。
震えながら全てを話終えた看護師の女性が、心配そうに訊いてきた。
「犯人…………この病院に居るでしょうか?」
「恐らく、すぐ逃げたでしょう」
根拠は無いが、彼女を安心させるために私は言った。
井村と佐和田の妹が居る病院から、数十キロ程離れた病院。
警察庁の近くにある精神病院だ。
犯罪を犯した人間で、精神状態が異常であると判断された人間が収容される病院で、外来客はほとんど来ない。
佐和田の寝ていたベットは空だが、シーツや枕に真っ赤な液体が染み付いていた。
先程、死体が運び出されたのだ。
佐和田の首の傷は深く、一発で顎動脈を捕えていた。
躊躇い傷等もなく、本気で殺すつもりで切られたようだ。
凶器は間違いなく刃物だ。剃刀辺りだろう。
益々、犯人候補として挙がる〓〓〓〓〓が怪しくなるが、私は何故か府に落ちなかった。
もし〓〓〓〓〓が犯人だとしても、自分の弱点となる事をわざわざ敵である私達に教えてくれた事になる。
頭が切れる人間がそんな迂濶な事ができるのか?
私一人で考えても仕方無い。
私は現場検証をする同僚らを後に、病院を出た。
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