花が咲く頃にいた君と
「そんなに睨みあってても話は進まんだろう」



男性教員はため息と共に足を組み換えた。




もうかれこれ数十分、あたし達はテーブルを挟んで、にらみ合いを続けていた。



あたしの正面、女共4人は座らされ、隣には何故か東向日が居た。



しかし、いつもの如くまるで存在感がない。


ただの置物の様に、あたしの傍にいる。



「話す気になったか」


教員達も最初こそ、揉めた理由を聞き出そうとした


けど、水面下で睨み合いを続けるあたし達は、誰も口を開かない。



また誰か教員の一人が、ため息を漏らした。



あたし達の火花だけが、チリチリと散った。




ギシリとパイプ椅子が鳴って、

男性教員は気まずそうに、東向日を指差した。


「え~、あ~、そこの」

「東向日です」


東向日と名前を覚えられていないことを、特に気にすることもなく、自分から名乗っていた。



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