花が咲く頃にいた君と
あたしの体がピクリと跳ね上がる。


綺麗な指が、眼帯をした瞼を撫でた。


恐る恐る東向日を見上げた。



「もうこうなケガしないから」


自然と口をついて出る言葉。


「だから、そんな悲しい顔しないで…」


泣きそうになった。


グッと眉間に力を入れて、潤む声をなんとか耐える。



無色透明な東向日の心。

貴方は些細なことで傷つく優しい人。


今だってあたしのケガで、心を痛めている。



前髪から見える瞳、悲しげに下がっていた。




「じゃ、約束して…絶対にもう、自分を傷付けないで」


多分、この約束は守られない。


あの変態共といる限り、あたしは奴等の親衛隊にいつでも狙われてる。



それでも、差し出された小指に、あたしのそれを絡めた。


「うん、」


“約束ね”


飲み込んだ言葉、プライドの高さを知った。


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