花が咲く頃にいた君と
「失礼しました」


職員室に反省文を提出して、東向日と肩を並べた。



「ふゆちゃん~」


最近では聞き慣れた声色に、片眉がピクリと上がる。

振り返ると、案の定、変態3人組がそこにいた。



「ごめん、先に行って」

「えっ?」

「東向日には関係無いことだから」


奴等の方へ足を踏み出した瞬間、後ろからグッと手を引かれた。


目を丸くして振り返ると、東向日に手首を掴まれていた。



「関係無くないよ」


聞いたこともない声の強さに、動けなくなった。


「結女、わかってんだろ」


柊の言葉に首が動く。



「呼ばないで」

「はっ?」

「名前、呼ばないで」

「名前くらいなんだよ」

「次、名前で呼んだら、あんたらの顔とタマ潰すよ」



視界いっぱいに映った柊

息を飲むのが分かった。

それはあたしの脅しに対してではなく、あたしの目に恐れを抱いてのものだろう。


「あぁ、わかった」


頷いた声、少し震えていた。



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