花が咲く頃にいた君と
綺麗な心
そうだな。
今まで色んな風に呼ばれてきた。
どれも、ろくでないものばっかりだったけど、
“人殺し”なんて呼ばれたことは、一度もなかった。
意味もわかんないのに、さすがに胸が痛い。
「ちょっと君、」
「何だ根倉、でしゃばってくんなよ」
「僕の顔、覚えてない?」
「はっ?」
あたしを庇うように前に出てきた東向日を、柊はバカにしたように瞳を細めた。
「生憎、根倉の知り合いはいねぇよ」
「そっか、」
目の前にある背中、少し悲しそうに肩が下がった。
「自分が傷付いてるからって、人を傷付けていい理由なんてないよ」
東向日の背中に、触れようと伸ばした手が震えた。
宙に止まったまま、動けない。
「君の瞳、“悲しい”って色してる」
東向日は不思議な人。
どんなに感情を隠したって、それは全て見透かされる。
東向日の前じゃ、どんな強がりも解きほぐされる。
なんでかな?
とても優しい人間だから、人の心がわかるのかな?
背中越しに見た柊が、体を震わせた。
まるで見透かされることを怖がるように。
一歩、また一歩と、東向日から離れた。
今まで色んな風に呼ばれてきた。
どれも、ろくでないものばっかりだったけど、
“人殺し”なんて呼ばれたことは、一度もなかった。
意味もわかんないのに、さすがに胸が痛い。
「ちょっと君、」
「何だ根倉、でしゃばってくんなよ」
「僕の顔、覚えてない?」
「はっ?」
あたしを庇うように前に出てきた東向日を、柊はバカにしたように瞳を細めた。
「生憎、根倉の知り合いはいねぇよ」
「そっか、」
目の前にある背中、少し悲しそうに肩が下がった。
「自分が傷付いてるからって、人を傷付けていい理由なんてないよ」
東向日の背中に、触れようと伸ばした手が震えた。
宙に止まったまま、動けない。
「君の瞳、“悲しい”って色してる」
東向日は不思議な人。
どんなに感情を隠したって、それは全て見透かされる。
東向日の前じゃ、どんな強がりも解きほぐされる。
なんでかな?
とても優しい人間だから、人の心がわかるのかな?
背中越しに見た柊が、体を震わせた。
まるで見透かされることを怖がるように。
一歩、また一歩と、東向日から離れた。