花が咲く頃にいた君と
いつだって“お金”が一番あたし。



人を好きとか、嫌いとか、どうでも良かったはずなのに。



何でかな?

東向日のことになると必死だ。



「恋だね~。青い春だね~」

「恋じゃないし、青春してるつもりもない」

「ぷっ!自覚無しか。ほんっとうに、ふゆはお子ちゃまだな~」



頭をわしゃわしゃ撫でられて、眉間にシワを寄せた。



「ふゆ恋はね、お金より人に幸せをくれる」

「なにそれ」

「お金なんかどうでも良くなるよ、きっと、ね」


日高が優しく笑うとき、ちょっと大人びていて、

写真の中の母親を思い出す。



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