花が咲く頃にいた君と
「結女ちゃん?」


ボーッとしてた。


今日、日高に言われたことを、何となく考えていた。



考えたとこで、あたしの“お金”しかない脳内では、日高の言葉は理解しようがない。


「ゆーめちゃん?」

「ゆーめー」

「結女」


ハッとして身体が震えた。


目の前には、キスできそうな距離にいる、東向日。



「どわぁぁぁ!」


慌てて後退りしようとして、


ふかふかの布団に手をとられ、そのまま後ろに倒れた。



「大丈夫?」


被さるようにして、東向日が覗き込んでくる。


いつもは見えない瞳が、あたしを怪訝に映した。


心臓が、尋常じゃないほど跳ね上がる。


東向日の瞳が見れない。


日高の言葉が頭を駆け巡る。



日高が変なこというから、変に意識してる。



< 120 / 270 >

この作品をシェア

pagetop