花が咲く頃にいた君と
顔が真っ赤になるのを、自分でも感じた。



目をギュッと瞑って、両手で顔を隠した。



「どうしたの?」


さっきよりも近くに、東向日の声が降ってくる。


「何でもない、」


羞恥に、声が震える。



「何でもないないわけないよ」


顔を隠す手を、東向日は優しく引き剥がした。



ズルい、東向日は。



あたしはが東向日に触られたら、動けなくなるのに。



「顔真っ赤だね。熱でもあるのかな?」



奪い取られた手は、布団に縫い付けられて、


東向日の心配げな瞳が、迫ってきた。



キスされる!?


一度見開いた目を、


再びギュッと瞑った…



コツン、


触れ合ったのは、おでこだった。



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