花が咲く頃にいた君と
「熱は無いね」

「東向日が、近いから、」

「えっ?」


東向日の視線から逃れる様に、身体を捻った。



何処まで天然なの…



「ご、ごめん!!」


縫い付けられた手が、弾んで離れた。



ゆっくりと目を開ける。


蛍光灯で白く霞む視界

あたしと同じくらい、真っ赤な東向日がいた。



泣き出しそうなくらいの羞恥。


けど、東向日の頬が赤く染まって

違う意味で泣き出しそう。


「東向日は、あたしを、意識してる?」



顔を布団に埋めて、東向日に尋ねてみる。



あたしばっかりドキドキするなんてズルい


だから恥ずかしいけど、東向日にも

一緒にドキドキしてもらう。




何も答えてくれない東向日、

ちらりと見上げた。




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