花が咲く頃にいた君と
どうしてそんなに泣きそうな顔をするの?



「ごっめん、からかった」


ウソは得意

笑顔は苦手


それでも上手く誤魔化すよ。



だって知られたくないもん。


あたしが今、ショックをうけたこと。


東向日にだけは、知られたくない。




「あたし、部屋戻るよ」

いつもどんな顔してた?


てか、あたしなんでこんなショック受けてんだ?


「うん、お休み」



東向日はいつもの笑顔で、あたしに手を降った。


室内灯しか無い廊下。


東向日の部屋のドアに背中を預けて、その場にズルズル座った。



「ボケ」


自分に言ったものか、東向日に言ったものか



呟いた言葉、長い廊下に吸い込まれた。



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