花が咲く頃にいた君と
「おい、ふゆ」


横峯のヤローに呼びかけられて、眉間にシワを寄せて振り返った。



「お前、顔赤いぞ」

「前からじゃい」


特別何かあるわけじゃない。


ちょいと頭はボーッとしてるけど、いつも通り。


「熱でも有るんじゃないか?」

「別にほっといてくれ。で、用件は?」



1分1秒でも、関わっていたくない。


それが、あたしの身体全てから醸し出されている。



「特に無い、ただ絡んでみただけだ」


一番鬱陶しい返しかたされたー。



「じゃ、呼ぶな」


席を立とうとして、立ち眩みして、思わず横峯に支えられた。


「おい、大丈夫か?」

「助けてもらったことに、一応、礼はいおう」



横峯の支えを振り払い歩き出す。


行きたい場所なんてない。


出来れば身体を動かしたくはなかった。


けど横峯が絡んできた以上、どこかに行きたくて、思わず席を立った。



「おい、ふゆ」

「あ~、何です、かっ!?」


苛つきながらも振り返った瞬間、担がれた。


米俵の様に、それは見事なまでに。


あたしの心臓は遅れて音を立て。


羞恥に暴れた。



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